“都会と田舎を繋ぐ” 近畿農産資材・西威誠社長が取り組む地域貢献

牛糞堆肥製造の老舗メーカー、近畿農産資材株式会社。1978年に宝塚市で創業したのち、1998年に佐用町へと本社移転、“自然環境と地域との共存”をテーマに、佐用町の地にて堆肥・培養土等の製造販売事業を営み続けています。

今回は、同社代表取締役社長を務める西威誠(にし いせい)さんにお話を伺いました。

目次

近畿農産資材株式会社 西威誠さんのプロフィール

西 威誠(にし いせい)

近畿農産資材株式会社 代表取締役社長

1975年8月11日生まれ
兵庫県西宮市出身

2000年ごろに、父親・西陽二郎氏が創業した近畿農産資材株式会社を引き継ぎ社長に就任。牛糞や鶏糞や樹皮などを堆肥・肥料に再資源化する土づくり事業を営む。

近畿農産資材株式会社

自然・地域と共存し、地域経済を循環させる。近畿農産資材の地域貢献

―― 近畿農産資材株式会社の事業内容を教えてください。

牛糞や鶏糞といった畜産から出る副産物を主原料に、有機肥料などの土を製造し販売しています。“そのままだと公害の元となる副産物を堆肥に再資源化することで循環型経済を創出する”ことを使命に事業を営んでいます。

―― 販路としては佐用町近郊が中心になるのでしょうか?

販売先は関西一円の農業・園芸関係のお客様を中心に緑化工事関係のお客様などがございます。もちろん、佐用町のホームセンターでも弊社商品を取り扱っていただいていますが、町内での売上はほんの数パーセントです。

―― 逆に言えば、売上の大半が佐用町外からということ。
要するに、佐用町に外貨を獲得してきてくれているということになりますね。

佐用町で会社を経営するということは、佐用町で雇用を生むことが重要だと考えているんですよ。今も従業員のほとんどが佐用町民ですけど。ただ佐用町で雇用を創出するには、賃金含めて働きやすい環境、ようするに、ワークライフバランスを考えないといけません。

そう考えると会社の成長は必須事項ですよね。会社を成長させるには、佐用町という市場だけだと大変厳しいです。なので町外にマーケットを求めた結果、お客様の大半が町外の方という形になったんです。

創業地は宝塚。地元ではない佐用町に本社を移転したきっかけ

―― ちなみになぜ、地元ではない佐用町に本社を構えているのですか?

創業は宝塚なんですよ。本社移転して佐用町に来ました。

移転のきっかけは、私の祖父がたまたま、佐用町の土地(現 近畿農産資材株式会社)を所有していたことです。ただ長年遊びっぱなしの土地でして、父の地元の友人が偶然にも佐用町で牧場を開くことになった際に「一緒に佐用に行こう」と決まったとのことで、平成10年に大借金を抱えて本社を移転、現在にまで至りました。

―― たまたま佐用町だったのですね。ちなみに、お祖父様はなぜ佐用町に土地を?

祖父は実業家だったのですが、本業の関係でこの地を所有していたそうです。結局使うことはなかったのですが。祖父の本業の方で話が進んでいれば弊社は佐用町になかったでしょうし、父の友人が佐用町に来なければ、同様に弊社も佐用町には来なかったでしょうし、偶然に偶然が重なった結果、佐用町の会社になりました。

“都会と田舎の架け橋になる” 西威誠社長が描く会社の在り方

―― 偶然に偶然が重なった結果、佐用町にて経営を続けておられる。ただ成長を続ける上で、他の町へ移転することも可能だと思うのですが、佐用町で事業を続けられる理由は何かありますか?

佐用町で続けている大きな理由の一つは、町に対する感謝の気持ちがあるからですかね。偶然にもご縁があり佐用町に移転したわけですが、佐用町に来てからも街の方々によくしていただいた。だからここまで会社を続けて来られた。この部分が大きいかなと。

あと事業を続けられる理由については、弊社事業が社会のためになる仕事だと感じられること、やりがいがあることが大きいです。

佐用町の経済活性化には畜産業の活性化は避けて通れません。しかし同時に公害問題への懸念が高まり街の方はどうしても心配されるのでなかなか進まない。私は両方の立場の方からそれぞれお話を伺う機会があるのですが、この課題を全て良い方向に進めていくのが弊社の事業です。

これがモチベーションになり、仕事は続けられているかなと思います。

―― 最後に今後の展開をどのようにお考えか教えていただけますか?

田舎と言われる地域は、今後起こるだろう社会課題がいち早く訪れる地域です。佐用町も例外ではなく、とりわけ人口減少と東京一極集中などの影響で社員の雇用が非常に難しくなっています。

ただそんな中ででも、畜産業を中心に佐用町の経済活性化に貢献しつつ、従業員にはワークライフバランスが取れた働き方を提供するなど、満足度が高まる職場を作りたいと考えています。そのためには会社の成長が必須で、ホームページを上手に活用して企業ブランディング・販路拡大に繋げたり、5年後10年後には、後継者がいない会社のM&Aなどを実施したりと、成長のために動き続けるつもりです。

また弊社は、佐用町と都市部とを繋ぐことができる事業を営んでいることが一つの強みだとも思っています。今後は、弊社が “佐用町から都会へ” “都会から佐用町へ”といった流れを作れる会社、都会と田舎の架け橋になれるような取り組みにも力を入れていきたいなと思います。


以上、近畿農産資材株式会社・西威誠社長へのインタビューでした。

今回取材を担当した重田は、“良い会社が複数ある街は移住者が増えやすい” と考えています。その上で、自社の成長と従業員への還元を並行して考える西社長の考え方と取り組みにすごく感銘を受けました。

今後、近畿農産資材(株)さんのような会社が佐用町にも増えると良いなと思います。

近畿農産資材(株)西威誠社長の紹介者:川本商店 川本長さま

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