廃村がグランピング施設に!佐用町のglaminka(グラミンカ)とは

兵庫県神河町と佐用町に、グランピング施設 glaminka(グラミンカ)を運営される大西猛さん。

glaminkaを作ったきっかけや、共同代表・大野篤史さんとの出会い、glaminka SAYO集落の各棟の特徴などについてお話しいただきました。

目次

glaminka 代表・大西猛さんのプロフィール

大西 猛(おおにし たけし)
1983年3月19日生まれ。兵庫県神戸市出身。
株式会社glaminka 代表取締役。
神戸市の教員として10年勤務した後、教職を離れてカナダへと留学。カナダ滞在中に味わった “異文化の世界観” や “非日常のワクワク感” を、多くの人に味わってもらいたいという想いから、教員時代の採用同期である大野篤史さんとともに、glaminkaブランドを立ち上げる。

glaminka 公式サイト

glaminka ってどんな場所?

glaminka SAYO集落 センター棟

glaminkaは、”グラマラスなデザインを融合させた日本の古民家で、グランピングも楽しめる” という新しい形の宿泊施設です。

兵庫県神河町の「glaminka KAMIKAWA」を2018年2月にオープンした後、廃村集落を丸ごとリノベーションする形で、佐用町若州に宿泊棟4棟とセンター棟、スタッフ棟などを擁する「glaminka SAYO集落」をオープンしました(2021年3月)。

glaminka オープンのきっかけ

glaminka SAYO集落
出典:glaminka 公式サイト

共同代表・大野篤史さんとの出会い

共同代表を務める大野篤史さんとの出会いがなければ、glaminka はありませんでした。

採用同期だったので “学校の先生同士” として知り合ったのですが、お互いに「変わっている人だな」と思っていたと思います。当時の大野さんの印象は、「自分をしっかりと貫く人」で、僕は「怖いもの知らず(世間知らず)」と思われていたかなと。

毎年の新人研修として、リストから企業を選んで、実際に仕事体験をするという研修があるのですが、史上初めてリストから企業を選ばないチームが2つあって、それが、僕のチームと大野さんのチームだったという出来事もあります。(笑)

カナダ留学での気づきと大野さんとの再会

10年教員として働いている中、少しずつ海外志向の生徒が増えているなとは感じていたのですが、僕は留学経験がなかったので、一度海外に出て知見を広めよう思いカナダへ留学をしようと決意しました。

実際にカナダに行ってみると、 “非日常のワクワク感” を強く感じることができ、異文化や日本文化の発信に興味が出てきたんです。

またカナダ留学中は、スノーボードでよく遊んでいました。ただ、練習方法が分からなかったので、スノーボードが凄く上手な大野さんに連絡をしてみたんです。

スノーボードについて尋ねただけだったんですけど、本当に久々の連絡だったこともあって、僕の退職の話や今後の話、大野さんの実現したいことなどに派生しました。

その話の中で「笑顔が生まれる場所づくり」がしたいと意気統合して何かやろうと。

その後、「本当に良いものを作れば人は来てくれる。」という思いから、たまたま見つけた神河の物件で「GLAMINKA kamikawa」を立ち上げることになりました。

“GLAMINKA” から “glaminka” への転換

実は、立ち上げた当初は、”glaminka” ではなくて、”GLAMINKA” だったんですよ。グラミンカは、良い建物を作ることから始まったことなので、「洗練されている感が強い”GLAMINKA”」を採用していたんです。

ただオープンしてみるとスタッフへの称賛が後を絶たず、「柔らかな印象の “glaminka” の方が合っている」ということで。

僕としては、最初は “GLAMINKA” を残したかったんですけど、今では誰よりも “glaminka” のロゴを愛しています。

佐用・若州を選んだ理由は?「glaminka SAYO集落」の立ち上げについて

glaminka SAYO集落

たくさんの方が「glaminka KAMIKAWA」に宿泊してくれるようになり、”次はもう少し大きな規模で” という想いを持っていたところ、古民家改装を手がけている方が、佐用・若州を紹介してくださったんです。

若州に来たときに「ここだ!」と思って。その上、完全廃村状態で地図からも忘れた場所だったので、この地を知ってもらいたいと思い「glaminka SAYO集落」を立ち上げようと。

立ち上げについては、神河をやっている時から “一緒にやりたい” と思っていた、ものづくり集団「TEAMクラプトン」さんに相談をしてみました。

すると、”全国から同じ想いを持ったチームを集めよう” と「TEAMクラプトン」さんから提案があり、「HAZ建築杜舎(京都)」、「HandiHouse(東京)」、「ようび建築設計室(岡山)」、「maenomeri works(福岡県)」の4チームをクラプトンさんが集めてくれて。

佐用の宿泊棟4棟は、この4チームがそれぞれ手掛けた宿なので、「HAZ」「handi」「YOUBI」「maenomeri」という名前になっています。

glaminka のこだわり

出典:glaminka 公式サイト

「開口部の広い窓」「部屋の中でも外でも火を楽しめる」「大きなアイランドキッチン」「チルスペース」「囲炉裏で楽しめる室内BBQ」。これらのこだわりに加えて、 “愛着” や “繋がり” といったテーマのもと、glaminka 各棟がそれぞれのコンセプトを持つよう改修をしています。

「glaminka SAYO集落」を作る際には、各棟の持ち主にそれぞれのお家が持つストーリーを聞いてから、もう一度作り直すということを行いました。大手企業が古民家をリノベーションすると、全て更地にしてから建て直す形になっていたはずですけど、僕たちは小さな集団なので、”元々の家主の想い” を尊重しての改修が実現したと思っています。

結果、有難いことに、元の住人が見学に訪れてくれ、親戚や友達に自らコンセプトを話してくれる なんてことも起こっています。

僕たちのやりたいことに協力的な佐用町でなければ実現しなかったと思いますし、改修を先導してくださった5チーム、手伝ってくださった方々には本当に感謝しています。

glaminka SAYO集落 各棟のご紹介

株式会社glaminka大西猛代表と、maenomeri棟

glaminka SAYO集落の各棟を、大西代表に案内していただきましたので、ここからは、センター棟と宿泊棟4棟の特徴を、画像と併せてご紹介します!

センター棟(建築:京都・TEAMクラプトン)

glaminka SAYO集落 センター棟

コンセプト:都会と田舎の融合

glaminka SAYO集落の窓口とも言えるセンター棟では、チェックインやチェックアウトなどを行います。

センター棟の入り口には「切り取られた都会」があり、中に入ると「温もりのある木々などの田舎」が出てくることが、この棟のコンセプトにもなっているよう。

このセンター棟を通り抜ける頃には、「都会を捨てて田舎を満喫してもらいたい」というメッセージもあるようですよ。

glaminka SAYO集落 センター棟のエントランス
センター棟入り口(出典:glaminka 公式サイト
glaminka SAYO集落 センター棟の室内
センター棟出口(出典:glaminka 公式サイト

maenomeri棟(建築:福岡・maenomeri works)

glaminka SAYO集落 maenomeri棟

コンセプト:視線が抜ける家

「視線が抜ける家」がコンセプトのmaenomeri棟は、開放感に溢れるグランピング施設となっています。

改修前にあった大きな守り木は、室内のソファへと生まれ変わり、改修前の木材の一部は、加工されハウスデザインに組み込むなど、新しく綺麗でありながら古民家らしい深い味わいが、maenomeri棟の大きな特徴。

近年、環境への配慮という観点から、”アップサイクル” という言葉が注目を浴びて来ていますが、maenomeri棟は、随所にアップサイクルされた家具が散りばめられています。

glaminka SAYO集落 maenomeri棟のエントランス
maenomeri棟のエントランス
glaminka SAYO集落 maenomeri棟のソファ
maenomeri棟のソファ
glaminka SAYO集落 maenomeri棟の洗面所
maenomeri棟の洗面所

YOUBI棟(岡山・ようび建築設計室)

glaminka SAYO集落 YOUBI棟
出典:glaminka 公式サイト

コンセプト:糸を紡ぐ家

元々は養蚕業を営んでいた古民家をリノベーションして作られたのが、このYOUBI棟です。

室内に入ってすぐに目がつく2階のモニュメントは、繭をイメージして作られたもので、秘密基地化して遊ぶ子どもも多いのだとか。

また寝室も同様に、繭の中をデザインして作られており、若い宿泊者からはインスタ映えスポットとしても人気が高いようです。

特徴のあるお部屋を楽しまれたい方は、「糸を紡ぐ家」に泊まってみてはいかがでしょうか。

glaminka SAYO集落 YOUBI棟の寝室
YOUBI棟の寝室
glaminka SAYO集落 YOUBI棟のキッチン周り
YOUBI棟のキッチン
glaminka SAYO集落 YOUBI棟の2階
YOUBI棟の2階のお部屋

handi棟(建築:東京・HandiHouse)

glaminka SAYO集落 handi棟
出典:glaminka 公式サイト

コンセプト:余白を楽しむ家

コンセプトの通り、handi棟は他の3棟に比べて余白が多いことが特徴的です。

これには “宿泊者の方々それぞれに、この家をクリエイトしてほしい” という願いが込められているようで、広く作られたエントランスでは、ダンスの動画を撮るなど自由な使い方で楽しむことができます。

また、家の外にも余白が多く取られており、心地の良い日向ぼっこや夜の焚き火を楽しむことも可能です。

glaminka SAYO集落 handi棟のリビング
handi棟のリビング
glaminka SAYO集落 handi棟のダイニング
handi棟のダイニング
glaminka SAYO集落 handi棟のキッチン
handi棟のキッチン

HAZ棟(建築:京都・HAZ建築杜舎)

glaminka SAYO集落 HAZ棟
出典:glaminka 公式サイト

コンセプト:くつろげない家

海辺・川辺などの癒し空間は、座れる石を見つけたりシートを敷いたりしなければ、くつろげる場所とは言えません。

ただし、くつろげる場所を作れさえすれば、何時間でもくつろぐことができるという方も多いですよね。

このように、自分たちでくつろげる場所を作ってほしい、見つけてほしいという思いからつけられたのが「くつろげない家」というコンセプトとのこと。

コンクリートのソファにデコボコと隆起した床、ジブリの世界のように木々に囲まれる寝室などなど、HAZ棟に入れば宇宙や異世界に来たかのような感覚を味わえますよ。

佐用町の glaminka で一味違うグランピング体験を!

「glaminka SAYO集落」の4棟と「glaminka KAMIKAWA」は、5棟全てが異なる設計チーム、異なるコンセプトで建築されており、それぞれの棟で異なる顔を見ることができます。

オープンから1年で全ての棟に宿泊した方も多くいるようですし、佐用町に住む私の知人は「やっと佐用町の誇りになるものができた」と宿泊後の感想をこぼしていました。(笑)

グランピングが趣味の方や、グランピングに行ってみたい方、またglaminkaに興味のある方は、ぜひこの記事を参考に「glaminka SAYO集落」に宿泊してみてください!

glaminka 公式サイトはこちら

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